『Flow』
森も文明も水没して人間も姿を消した、不穏でわくわくな世界観。
水と光の表現がすごく美しかったな~。広大な水の中を悠々と泳ぐ巨大なくじら(?)、美しい。
でも主人公の猫ちゃんが結構危ない目にあうのでものすごくハラハラしながら見た…。挙動も不安な時にあげる鳴き声も本当に猫ちゃんなので……。
飼い主と暮らしていたであろう小屋のベッドでぽつんと一匹で眠るシーン、胸が痛い。
他の動物たちもかわいい。気高いへビクイワシさんと、懐が広くて頼りになるビーバーさんが好き。
犬たちもトラブルメーカーだけど犬ってかんじでかわいかった。
ラスト、水が引いて地上に打ち上げられてしまった巨大くじらに寄り添う猫ちゃん…。切ないシーンだけど、覗き込んだ水たまりには一緒に旅した仲間たちも映っているのが、独りぼっちだった頃のシーンとの対比になっていてぐっときた。
あの世界は洪水を繰り返しているのかな。エンドロール後はまた広い海を巨大くじらが泳いでいるし、冒頭でも木の上にボートが引っかかっていたし。
言葉ではいっさい語られないから、描かれたものひとつひとつに目を凝らして考えながら見るのも良し、感覚的に受け取って猫たちと一緒に映画の世界を漂うのも良し、
どちらにしても映画館で見てよかった!と思える作品だったな~
やっぱり塔の上でへビクイワシさんが光の中に消えてしまうシーンが気になる。
えっくすでは傷を負っていたので寿命がきてしまった説とか、洪水を止めるための生贄説とか見かけた。
まさに「天に召される」と言う感じだった。
【以下、キリスト教に詳しくない人間の与太話なのでご容赦ください】
「Everybody's Gone to the Rapture -幸福な消失-」という、住人が忽然と姿を消してしまった農村を探索するゲームを思い出した。
Rapture=携挙とはキリスト教の信仰の一部で、敬虔な信者は永遠の命をもらって天に引き上げられ、信仰者でないものは地上に取り残されるというものらしい。
Flowで人間がどこにもいないのは、ヘビクイワシさんのようにあの光に入って行ってしまったから、そしてそれは水没する世界からの救いだったのかなあと思った。
大洪水の中で船に乗り込む動物たちというシチュエーションはノアの箱舟っぽいのでキリスト教的な要素は入っているんだろうな~と思う。たたむ
『ミッキー17』
ちょっと期待しすぎちゃったかな~が最初の感想だった。わりと普通のSF映画だった。
複製人間の設定より異星人との共存の話になっていくので…。
ナーシャだけが非人道的な扱いを受けるミッキーのために怒ってくれた回想とか、「エイリアンは私たちの方だろうが」のシーンとか、人間キャラはとにかくナーシャがかっこ良かったな。
「ミッキーが2人いるなんて最高!」でマルティプルを受け入れて2人ともいっぺんに愛してるのもよかった。
移住先の惑星の先住者「クリーパー」がかわいい。
最初は芋虫とかダンゴムシみたいなものかと思ってぎょっとしたけど、皮膚の質感や毛の感じはゾウっぽい? なんか口の中にも目なかった?
生け捕りにされたちっちゃいクリーパー、人間を嫌いになっても仕方ないのに研究者の女の子に懐いて、ラストの式典でも抱っこされてて少しほっとした。
最終的にはSF的なお話よりも、お母さんの死を引きずってどん底に生きていたミッキーが「自分も幸せになっていい」と思えるようになるまでの物語だったと思う。
全体的にノリが合わなかったけど、夢の中でトニ・コレットに「今思い出した。あなたはあの後死んだんだ」と伝えるシーンの雰囲気は好きだった。
たたむ
『教皇選挙』
すごく面白いらしいと聞いて見に行ったら本当に面白かったし、心打たれました。
今のところ今年ベストかも。
先にどうでもいい感想
- カメさんがかわいい。
- カメさんが好きなベニテスもカメさんを安全なところまで運んであげるローレンスも微笑ましい。
- ローレンスとベリーニ、狭いところに2人で収まって教皇名どうする〜?って話すシーン、良い。
- 枢機卿の中に職場のおじさんと雰囲気が似てる人がいて勝手に親しみを感じた。
まず序盤にある主人公・ローレンスのスピーチ、「確信は恐ろしい。信仰は迷い悩み考えることと共にある」という内容が素晴らしかったなあ……。
このスピーチでもう2,000円払った価値があったな…と思った。
スピーチとして素晴らしいだけでなく、彼が信仰に困難を抱えていたのを思うと切実な思いがこもった言葉だった。
ベニテスの秘密を知った時もまたローレンスはそれはそれは迷い、悩んだだろうけど、最後に花火を見上げる彼の表情はどこか晴れやかなのがじんわりと希望を感じる締めくくりで美しかった。
選挙中に宗教画を見上げる時の表情と対比的だった気がする。
ローレンスは信仰を取り戻すことができたのかな。
ベニテスやシスター達の話もしたかったけど力尽きそう……ゼエゼエ……
配信などでまた見られたらその時にじっくり書きたい……。
凝り固まった教会への批判や風刺もありつつ、信仰というもの、信仰する者の心の動きのお話だったのが良かった。
私は無宗教だけど、信仰を持って生きることの苦悩と祝福に心打たれました。
もちろんエンタメとしてもとても面白い、すごい
シスターアグネス視点の『教皇選挙』も見てみたいな〜〜
ちなみに観賞から1ヶ月後にやっとパンフレットを購入できました。まだ読んでない。
公式サイトにネタバレ解説とかもあるらしいですね…。たたむ