#fnaf /パペットとレフティ #WIP

 暗くて狭い場所は嫌いじゃない。プレゼントボックスの中で子供たちの声を聞きながら、彼らに会えるその時を待つ時間が大好きだった。
 でもここは違う。息が詰まりそう。ひと欠片の光も入り込む隙間さえない、暗闇だけがここを満たしている。まるで牢獄みたい。
 なんとかして出る方法はないかしらともがいているうちに体が逆さまになって、パペットは思わず「むぐ」と声を漏らした。
──何してるの
 ふと、どこからか知らない声が囁きかけた。おそらくパペットを捕らえた張本人、そしてこの空間そのものの声だった。
 パペットは最後の記憶を反芻する。長い長い時間を彷徨い続け、朧げになった意識の中で、不思議なほどに惹かれるものに出会った。薄闇の中にクマ型のアニマトロニクスの影が浮かんでいるのを見た。その後、目が覚めるとこの暗闇の中にいた。
「あなたは誰? ここから出してよ」
 こんこん、と一番近い壁をノックする。
──駄目。君を守るように言われてるから
「でもここは苦しいし、なんだかすごくいやな感じがするの。外に出たいよ」
 今度はひっくり返ったままのつま先で、コツン、とさっきよりも強めに壁を打つ。反動でパペットの背中にエンドスケルトンの背骨の部分が当たる。やはりあのアニマトロニクスの中らしい。
 “彼”は答えずにまた黙ってしまったけれど、しばらくして壁──アニマトロニクスの腹部の蓋があっけなく開かれた。
 警戒しながらそっと這い出ると、そこは何かのステージの上だった。知らない場所なのに懐かしいような心地がする。
 目の前の赤いカーテンに触れようと身を乗り出したところで、パペットはこれ以上“彼”から離れられないことに気づく。強く引っ張られているわけでも、壁があるわけでもないのに、そこで世界が行き止まりになってしまったみたいに。
 やっと姿を捉えることができた“彼”は、パペットの知るクマ型のアニマトロニクス──フレディたちと似ていたけれど、どこか違う何かだった。魂を持たない人形でありながら、人間の意思が染み付いているような、奇妙な気配がする。
「あなたは誰?」

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#追記
レフティのスタチューのパペちゃ(ややこしい)、意外と楽しそうに見えてかわいいな…(でも目が光ってる=キルモーションなのでやっぱりブチギレてるのかも)

ファンメイドの動画とか見ると手足とかがっちり拘束されてるイメージが主流みたいなんですが、私はパペちゃは割と中でくつろいだりジタバタしたりして、しかしレフティはポーカーフェイスなので誰も気づかない…みたいなほのぼの(?)軟禁生活を妄想しています。

あとスクトラが近くにいるとパペちゃ(ウィリアム絶対始末するマン)が力づくで出ようとするからグエッとなるレフティ、あってほしいclose
#AT / gumlee / 甘くて苦い の続き?

 ソファで眠るマーシャルの頬に、カーテンの隙間から差し込んだ青い月の光がひとすじの道を作る。それを空中でなぞって、少し迷ってから、唇の端をそっと指でめくる。白い八重歯は自分のそれよりはいくらか鋭いような気がするけれど、ヴァンパイアの牙とは全くの別物だった。
 ここは魔法のない世界で、ガムボールはキャンディの国の王子様ではないし、マーシャルもヴァンパイアの王ではない。
 だけどガムボールは時々確かめたくなる。マーシャルはガムボールの首筋にキスするのが好きで、時には噛み付くことさえあったから。
「なんだよ……」
 まだ半分眠りの中で溶けたままの声がした。唇に触れたままの手をマーシャルの手が掴んでいる。頬と指の上にまたがって歪んだ光が、流れ出した青い血のように見えた。

(ムーンライト・ヴィジョン)


ガムボールにウー大陸の世界の記憶がちょっとだけある感じ。
ガムボールの名前の件のツイート見かけたけどガムボールのまま書いちゃったな

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絵文字ぽちぽちありがとうございました!🍧

fnafSB RUIN ぶじにリリースされてよかったー!おめでとうございます!

つづきから、#fnaf SB/大人になったグレゴリーくんと平和に暮らしてるフレディさん

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 子供の頃の記憶。そこは硬くて狭くて、ひどく揺れるし、お世辞にも居心地が良いとは言えなかったと思う。
「グレゴリー?そんなところでなにを……」
 あの頃は体中に響いたフレディの声は、今では鼓膜を揺らすだけだ。僕を体まるごと匿ってくれた腹部の空間は、今となってはせいぜい頭を突っ込むくらいしかできないから。
「別に。ちょっと懐かしいなと思っただけ」
 そう言いながらもフレディの体の中に頬をくっつけたままでいると、困ってもじもじしているのが振動でわかる。
 無機質な彼の中身の、優しい機械音が聞こえる。
 フレディが一緒にいるのは心強かったけど、一歩外に出れば何十ものアニマトロニクスが僕を追っていた。安心できる時間なんてほんの一瞬もなかった。
 でも彼の声の音に包まれるのだけは、心地よかったような気がする。


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大きくなってもうフレディさんのお腹の中入れないな~ってネタ大好き、何度でも見たい。close

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